遺言書に書けば何でも有効になるか?公正証書と自筆証書の違い

みなさまいつもありがとうござます。
公正証書作成の大阪吹田の江坂みらい法務事務所、代表の信本です。
本日は、遺言書に書けば何でも有効になるのかというテーマでお話します。
前回より少し具体的になります。
前回の記事
相続対策・公正証書遺言と自筆証書遺言の違いって?

遺言書で出来る事は民法で決まっている

結論から先に言ってしまいますが、公正証書であろうと自筆証書であろうと遺言書でできる事はほとんど同じです。
それらは民法・一般法人法・保険法・信託法等の法律に定められています。

内容を見ていきますと
祭祀主催者の指定(民法897条1項ただし書)、相続分の指定・指定の委託(民法902条)、遺産分割方法の指定・指定の委託(民法908条)、特別受益の持戻しの免除(民法903条3項)、相続人相互間の担保責任の指定(民法914条)、遺贈(民法964条)、遺留分減殺方法の指定(民法1034条ただし書)、一般財団法人の設立・財産の拠出(一般法人法152条2項等)、生命保険受取人の変更(保険法44条1項)、信託の設定(信託法3条2号)、遺言認知(民法781条2項)、未成年後見人の指定・未成年後見監督人の指定(民法839条1項等)、推定相続人の遺言廃除・取消し(民法893条等)、遺言の執行に関する遺言事項、遺言執行者の指定・指定の委託(民法1006条1項)、祭祀主催者の指定(民法897条1項ただし書)

この様な形になります。
少し先の長い話ですが、何日かかけて3つずつ見ていきます。

祭祀主宰者の指定(民法897条1項ただし書)

第897条
1系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

2前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

祭祀とは先祖をまつることです。
誰が先祖をまつっていくか、祭具及び墳墓の所有権は一般の相続対象となっておらず、まずは習慣に従って決めるとよいが、もし亡くなった人の指定がるときは、その指定されたものが承継するとなっています。
その指定の方法のひとつが遺言書であり、これは公正証書であっても自筆証書であっても可能な事項になります。

遺言例文としては
遺言者は、先祖の祭祀を主宰すべきものとして、次の者を指定する。
住所 職業 氏名 生年月日

ちなみに通説では祭祀主催者は必ずしも亡くなった人と親族関係がなくてもよく、名字が違っても問題ないとされています。

相続分の指定・指定の委託(民法902条)

第902条
1被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。
2被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。

この部分を遺言書の効果として認識されている方も多いと思いますが相続分の指定です。
相続分の指定とは法定相続分とは違う相続分を指定することです。
妻一人・子一人の夫が死亡した場合妻の法定相続分は2分の一ですが、遺言で妻に全部とする事も可能になります。
文例としては、あまりない、相続分の指定を第三者に委託する場合について載せておきます。

遺言書文例
遺言者は相続人全員についての相続分の指定をすることを次の者に委託する。
住所、職業、氏名、生年月日
なおその指定にあたっては相続人らの経済状態、年齢などの事情を考慮して実質的に適正公平に指定することを希望する。

遺産分割方法の指定・指定の委託(民法908条)

被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

相続分の指定とにていますが、遺産分割の指定は相続分の指定が相続財産全体に対する相続割合の指定なのに対し、不動産など特定の相続財産に対する相続割合の指定です。
遺産の半分を妻に半分を子どもにとすると相続分の指定、金融資産の半分を妻に、半分を子どもにそして不動産は全部を妻にとするのが遺産分割の指定です。
ざっくりとした説明ですが。。。

ここでもあまりない指定の委託の例文を載せます。

遺言書文例
遺言者はその遺産全部について、その分割方法を定める事を次の者に委託する。
住所、職業、氏名、生年月日

ざっくりとしか説明できませんが

公正証書遺言と自筆証書遺言の違いを説明したくて始めたシリーズですが、ちょっと大変なテーマを書き出してい舞いました。
何とか書ききりたいと思いますが、このシリーズ内ではざっくりとしか説明できません。

例えば遺産分割の指定と相続させる旨の遺言の違いとかなぜ使い分ける必要があるのかや判例なども交えて説明しだしともう長く長くなってしまいます。
ここでは、遺言で出来る事をざっとのせていって、また後日ふかぼりしていければいいかなと思います。

皆様最後までお読みいただきありがとうございました。