

離婚協議書を作らないまま離婚すると、養育費・面会交流・財産分与などをめぐり、離婚後に大きなトラブルへ発展することがあります。この記事では、離婚協議書の役割、公正証書にするメリット、離婚前に決めておくべき内容をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 離婚協議書を作らない場合に起きやすいトラブル
- 離婚協議書と公正証書の違い
- 離婚前に決めておくべき具体的な項目
- 専門家へ相談するメリット
離婚後のトラブルを避けるために大切なこと
離婚について、考えたことはありますか。もしかすると、この記事を読んでいる方のなかには、つい先日離婚をした方もいるかもしれません。
離婚には必ず原因があり、多くの場合、小さくない問題を抱えているものです。自分自身の状況をより良くするために避けられなかった選択であっても、離婚は非常に大きな苦痛を伴うことがあります。
その苦痛を避けたいからといって、必要な取り決めを曖昧にしたままにすると、そのツケは将来回ってくる可能性があります。
- 話し合いで円満に離婚したから大丈夫
- あとで揉めることはないと思っていた
そう思っていても、離婚という方法を取るほかないほどの大きなトラブルがあったからこそ、離婚に至ったという事実があります。対応を誤ると、その問題が将来さらに大きな困難の原因になることもあります。
離婚後のトラブルは少なくありません。離婚について考えた今、または離婚した直後こそ、将来のためにしっかり準備すべきタイミングです。
離婚協議書とは?
離婚後のトラブルを防ぐために大切なのが、離婚協議書の作成です。
離婚協議書とは、簡単にいうと、離婚条件を書面化したものです。主に、財産分与、慰謝料、養育費、面会交流など、離婚にあたって取り決めた内容を記載します。
口約束だけでは、後から内容を確認することが難しくなります。離婚協議書として書面に残しておくことで、当事者間の認識違いや、将来の蒸し返しを防ぎやすくなります。
離婚協議書を作らないと起きやすいトラブル
では、離婚協議書を作らないとどうなるのでしょうか。具体的に起こりやすいトラブルを見ていきます。
養育費を払ってもらえなくなる
口約束だけだと、そもそも養育費の取り決めがあったのかすら、当事者以外にはわかりません。「言った・言わない」の状態になり、結局支払いがないまま時間だけが過ぎていくことがあります。
養育費を実際に支払ってもらうためには、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てることになります。しかし、未成年の子どもがいる親が働きながら手続きを進めるのは、状況的にかなり負担が大きいものです。
面会交流で揉める
面会交流についても、頻度・場所・時間などの取り決めが曖昧なままだと、双方の認識にズレが生じやすくなります。
養育費と同じように「言った・言わない」のトラブルになり、結果として子どもにとっても負担の大きい状況になりかねません。
財産分与で揉める
財産分与では、銀行預金だけでなく、保険、自動車、不動産など、共有財産をどのように分けるか決める必要があります。
ただでさえまとまりにくい話し合いを、書面に残さないまま終えてしまうと、後から蒸し返されたときに対応が難しくなります。
時間が経つと、双方の転職、引越し、再婚などにより、連絡すらつかなくなる可能性もあります。何もしないまま離婚を進めることは、大きなリスクといえます。
公正証書にすると何が違う?
離婚協議書として書類を残すことは重要ですが、さらに公正証書として残す方法もあります。
公正証書とは、公務員である公証人が作成する公文書です。公証人は元検察官や元裁判官などの経験を持つ方が多く、市役所ではなく公証役場にいます。
作成する際は、近くの公証役場に電話予約などを行い、当事者が公証人の面談を受けます。作成された公正証書の原本は公証役場に保管されるため、改ざん防止という点でも信頼性が高く、強い証拠力が期待できます。
公正証書の大きな特徴は、一定の合意がある場合、養育費などの支払いが止まったときに、裁判を経ずに強制執行できる可能性がある点です。
養育費などは、最初の数カ月は支払われていても、半年、1年と経過するうちに支払いが途絶えることがあります。そのような場合に、裁判という煩雑で時間のかかる手続きを経ず、相手方の給与差押えなどにつなげられる点が、公正証書の強みです。
離婚前に決めておくべき内容
離婚協議書や公正証書を作成する際は、次のような項目を具体的に決めておくことが大切です。
養育費
子どもについては、最近では大学卒業までの期間について定めるケースも増えています。
支払方法
「毎月月末までに、受取人が指定する銀行口座へ振り込む」など、支払日・支払先・支払方法を具体的に記載するのが一般的です。
面会交流
月1回など、頻度を具体的に記載しましょう。場所や時間、連絡方法まで決めておくと、後のトラブル防止につながります。
財産分与
自動車や不動産などは、預貯金と違って分割しにくい財産です。どの財産をどのように分けるのか、個別具体的に記載しておくことで、蒸し返しを防ぎやすくなります。
慰謝料
離婚原因に相手の不法行為などがあり、当事者の話し合いで支払額がまとまっている場合は、慰謝料についても記載します。
保険
保険を解約して払戻しを受け、当事者で分配するなど、話し合いで決まった内容を記載します。
学費
将来、子どもが大学や大学院に進学する場合、進学先によって費用に大きな幅が出ます。概ねの負担方法を決めておきましょう。
離婚協議書は専門家へ相談するのがおすすめ
離婚の際の話し合いは、お互いが感情的になりやすいものです。また、離婚協議書を作成する際に、本来記載しておきたかった事項が漏れてしまうこともあります。
専門家に相談し、専門家を含めて話し合いを進めれば、協議がスムーズに進みやすくなります。もちろん、離婚協議書を作るうえでの記載漏れ防止にもつながります。
将来のトラブルを防止し、自分と子どもの将来を守るためにも、専門家に相談し、公正証書の作成まで検討しておくと安心です。
離婚を考えたら、まずは行政書士などの専門家に、一度相談してみることをおすすめします。
離婚協議書の作成でお悩みの方へ
養育費・財産分与・面会交流など、離婚後に揉めやすい内容は、早めに書面化しておくことが大切です。
よくある質問
離婚協議書を作らないとどうなりますか?
養育費、面会交流、財産分与などについて、離婚後に「言った・言わない」のトラブルになる可能性があります。後から話し合おうとしても、相手と連絡がつかなくなる場合もあります。
離婚協議書と公正証書は何が違いますか?
離婚協議書は離婚条件を書面化したものです。公正証書は公証人が作成する公文書で、一定の条件を満たせば、養育費などの支払いが止まった場合に裁判を経ず強制執行できる可能性があります。
離婚前に決めておくべき内容は何ですか?
養育費、支払方法、面会交流、財産分与、慰謝料、保険、学費などを具体的に決めておくことが大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の事情により必要な対応は異なるため、具体的な手続きは専門家へご相談ください。